中国現地で仕事をして おもしろくない話二題

                   クリエイト大阪 森下雅喜

1.法以前の問題

 1月に朝日新聞で報道されたのですが、DITIC(大連国際投資信託公司)の破綻がらみで、「取り立て等の訴訟が起こされた場合、裁判所はそれを受理するな」という内部通達が出たという話。

 確かにこのようにすれば、裁判沙汰にもならないし、裁判で負けてお金を払うこともない。しかしそれで中国は国際社会で仕事を続けられるだろうか、と思ってしまう。本気でそのようなことをしたら、中国にはペンペン草も生えなくなるということを為政者は知らないはずはないのだが。

2.四半期税の問題

 大連の現地会社が、12月に少し黒字になりました。年間を通して少し赤字で、最初の2年間の赤字数十万元を持ち越していたのですが、だいぶ良くなってきたと喜んで税務申告をしたところ、「第四四半期が黒字なので、その黒字に対する所得税を支払いなさい」と言われました。

 会計や税務規定を読んでも、どこにも「四半期黒字の所得税」など聞いたこともないので、その道のプロ三戸先生に相談しました。先生曰く「税は法律に従って徴収されるべきもので、累積損を含めた所得に対する課税が原則だから、中国当局に登録された企業の権利としてがんばりなさい。」

 同じ言葉で大連のスタッフを励ましてことに当たらせましたが、結局取られました。一昨年までは甘井子区にいて、その区にはそのような規定はなく、昨年は中山区に移転していて、「中山区ではこれが法律だ」に押し切られました。申請をすれば最終的には返還されるようですが、とにかく一旦は払えとのことです。この返還手続きは結構複雑で、4ヶ月くらいかかり、少額の場合は多くの場合はあきらめてしまうようです。

 知り合いの中国人に聞くと、「税務職員にもノルマがあって、成績が芳しくないときには、友人の経営者に頼んでわざと黒字にして納税してもらったりする。経営者もつき合いがあるので、‘魚心に水心’で協力している。」とのこと。

 こういう数字も、統計をいい方へねじ曲げていってしまっているのだろうな、と思ってしまう。



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