NPO法人の優遇税制について |
6月29日に、内閣府国民生活局市民活動促進課主催の「認定特定非営利活動法人に係る税制上の特例措置の説明会」が大阪で開催され、聞いてきました。 結論を先に言えば、NPO法人関西遼寧協会には、現段階では特例措置は適用されません。たぶん、ほとんどのNPO法人で適用されるところはないでしょう。適用されるとすれば、3年前に「特定非営利活動促進法」が施行されたとき、3年後にこのような特例措置が実施されるであろうことを予測し、毎年度の会計報告をそのように作ってきたNPO法人だけだと思われます。 それでは、今回施行されようとしている「特例措置」がいかなるものか、見ていきましょう。 1.特例措置の中身 「認定特定非営利活動法人に係わる税制上の特例措置」とは、NGO法人(非政府組織)、NPO法人に対して寄付行為を行った法人・個人に対して、一定程度までを損金算入できる措置です。要するに、稼ぎのないNGO・NPO法人が寄付金によって活動できるようにするために、寄付した人(法人)に対してある程度の免税措置をとろうという制度です。 2.「特例」として認定される条件 1)直近2期の決算で、寄付金の総額が、総収入金額の3分の1以上であること。 ただし、総収入金額、寄付金とも次の条件が付きます。 ・総収入金額には、国や地方公共団体からの補助金は含めない。 ・寄付金には、役員や社員からの寄付金は含めない。 ・寄付金には、一人からの金額が全寄付額の2%を超える分は含まない。 要するにこれらの条件は、寄付金というのは役員や社員ではなく、広く一般から少しずつ集めないといけない、ということです。現実のNPO法人の運営では、資金の不足する分は役員なり社員が負担することが多く、それらが寄付金として認められないなら、ほとんど意味をなさなくなるでしょう。 2)同一の市町村内の寄付金総額が寄付金全体の80%以下であること、または同一の市町村内で行った特定非営利活動が特定非営利活動全体の80%以下であること。 この条件は、地域に根ざした寄付または活動は特例として認めないというもので、このような条件を付ける意味は何かあるのかと悩んでしまう。 3)事業活動の便益の50%以上が特定の者に及んではいけない、法人内のあるグループが役員・社員総数の3分の1以下であること、事業が宗教や政治に偏ってはいけないこと、等。 これらの条件については、理解できないことはない。 これら以外にも、寄付金の使用目的や、助成金との関係、閲覧請求への対応、特例認定の取り消しなどが、こと細かく規定されている。 法案説明後の質疑応答では、質問というよりも憤りの声の方が多かったのではないか。「この法律で、いったいどれだけの法人が特例として認められると思うのか」、「適用の発生しない法律を何のために作ったのか」というようなものでした。 内閣府に対して財務省(旧大蔵省)が押し切った形の法案と言えるでしょう。 (事務局 森下) |