目からウロコの介護論(2)お年寄りの力、環境の力〜誰のための施設?〜
大阪市ケアのあり方研究会編 |
【内容紹介】 2006年9月に行われた大阪市ケアのあり方研究会の第2回研修会の講演録。講師は、大阪市立大学大学院生活科学研究科の三浦研さん。グループホーム、新型特養の施策化前後から、介護現場における「空間の介護力」または「環境の介護力」という議論が登場してきた。病院のような無機質な環境では、お年寄りの生活環境を整えることは不可能であるだけでなく、逆に痴呆や廃用性症候群を誘発する原因となっているとの批判を受けての議論である。お年寄り個々の生活環境の継続が保障される施設環境であるなら、お年寄りの生活の再構築が行いやすいのではないか、と言われ始めた。 本書の議論は、お年寄りの施設内生活の改善のために空間や環境をどのように変えていけばいいのか、そのヒントを例示することが主であるが、その背景にはその空間を環境づくりの「主体者としての職員」を見据えており、空間・環境の変化とは、職員の意識の変化と、職員とお年寄りの関係の変化が前提であることが暗示されている。また、ここで言う空間・生活の中には、施設の外の空間――地域・社会も含まれている。 本書の流れとしては、老健から毎日徒歩でサテライトデイに通いながら、地域に出て行く事例を紹介し、その中でお年寄りがどう変化していったのか、その変化の源泉とは何かを説明することから始めている。お年寄りと空間・ものとの距離感と、その距離感(関係性)から生じる「空間の柔らかさ」に着目し、「環境を捉える介護的視点」を概略して、これまでの施設環境と施設の改造事例を説明しながら、明日からでも取り組める環境改善のヒントと捉え方を説明している。 【目次】 第1章 日中、施設から歩いてまちに出る〜広島県庄原市・愛生苑の取り組みから
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