特養でその人らしく生きるために〜奈良・万葉苑ユニットケアの取り組み〜
のびのび委員会(地域型高齢者協働居住推進委員会)編著 |
【内容紹介】 2002年に事故死した万葉苑・主任生活相談員・小寺一隆さんが、2000年尼崎市で話した万葉苑のユニットケアの取り組みに関しての講演録と、その後半年間の経過の中でのユニットケアの取り組みの深化(進化)の過程を記した文章を加えた、初期ユニットケアの実践の基本的な流れを押さえた内容となっている。すでに4,000部以上自主出版として販売した本ではあるが、新型特養の施策化にともなって、形だけユニットケアになっている施設が乱立し、「ユニットケアが何を目指したものであったのか――その原型を捉まえる必要性」が高まり、再販の要望がいくつかのところからあったので、今回の企画に盛り込んだ。 ユニットケアの取り組みと万葉苑の取り組みについては語られることが多いが、実際は、施設全体の介護システムの変更と、介護職員全体の意識改革の結果が、ユニットケアであったにすぎず、本書の内容も具体的な取り組みの中で職員がどのように変わっていったか、それを仕掛けた小寺さんがどのようなビジョンを持っていたのか、ということに重点が置かれている。職員の意識が変わり、お年寄りとのかかわり(関係性)が変化し、介護の自立的な見直しが行われ、継続した空間変革・介護システム変革が行われていく流れをつかむことができる。 内容的には、施設内の空間的しつらえがどのように変化していくか、ということにも主眼がおかれているが、その背景にある職員群全体のマインドの変化、お年寄りとの関係性の捉え方の変化の結果として、生活空間の捉え方の変化が生じていることを読みとることができ、「カタチとしてのユニットケア」ではなく、「介護のためのユニットケア」とは何かが分かるようになっている。 【目次】 第1部 ユニットケア奮戦記!?−−特別養護老人ホーム万葉苑の取り組み
第3部 進化し続けるユニットケア−−補論・ケアと空間の構築
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