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「管理をしない特養での暮らし〜清水坂あじさい荘の介護のこれまで」

管理をしない特養での暮らし


〜清水坂あじさい荘の介護のこれまで〜


のびのび委員会(地域型高齢者協働居住推進委員会)編著
A5判 72ページ
定価864円(税込み)
ISBN978-4-88720-563-5
2008年9月1日初版第1刷発行注文する


【内容紹介】

2001年9月に姫路市で行われた「兵庫県宅老所・グループホーム・グループハウス学習会」と、その前日に園田苑にて行われた法人内研修会での講演2本を、1本にまとめ直した講演録。定員120名(うち、95%が痴呆のお年寄り)という超大型特養で、「ふつうの暮らし」を実現しようとした特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘の初期3年間の実践について語られている。
鳥海房枝さんは、現在でも「拘束ゼロ」の実践のシンボル的な存在であるが、「拘束ゼロ」とは「縛らない」という物理的な側面に注視するのではなく、施設で行われている介護全体のあり方自体を問うことから始めなければならない。「拘束をどうやめるか」ではなく、一人ひとりを支える介護をどう実現していくか――その結果として、拘束がなくなるのだ、ということを本書では実践報告を交えながら説いている。
流れとしては、清水坂あじさい荘の概要、鳥海さんのあじさい荘前史の説明、結果としての「拘束をしない」あじさい荘になったチーム労働のあり方、一人ひとりを支えるために必要な老いの捉え方、それらをふまえたいくつかの実践事例と(医療では担えない)介護の可能性のインプリケーション、といった内容となっている。
介護保険導入と同時に行われた、万葉苑の介護システムの大改革を説明することから始まり、それが、それ以前数年間の介護システム見直しの議論を受けてチームで検討されてきたことの実現に向けて動いた結果であり、変化によって生じるさまざまな職員の不満を、推進チーム全体が変わっていくためのきっかけとして捉え、それに耳を傾けながら、次に変わっていく方向性を探り、施設全体が変わっていく様子を丁寧に説明している。

【目次】

第1章 清水坂あじさい荘の特徴
はじめに/90億円をかけた“立派”な建物/重度化するショートステイ利用者〜ショートで亡くなられる?
第2章 清水坂あじさい荘の開所前夜・直後
後まわしにされる足腰の達者な呆けの人たち/入居予定者にとことん会いに行く/「病院の方針」で食べさせられる「おかゆ」/空々しい「自己決定」という言葉/役に立たない医療のサマリー/廊下のうんこ・おしっこ/入居者が“お岩さん”になる/好きなところで食べられるか?
第3章 清水坂あじさい荘が身体拘束をしなくていい理由
自分の身内を安心して託せる施設の条件とは/職員の等身大の介護課題からはじめる/暮らしの場なれば選挙もする〜天を畏れぬ所行/目が覚めたときが朝だ!眠くなったら夜だ!/今日のみそ汁は塩気がきいててうまい/3つの老いの見方/目が覚めるまで食事を待つ/下着の中に排泄させない介護/好きなようにお風呂に入れる/在宅で暮らすお年寄りを想像して施設での介護を組み立てる/きざみ食を止めて、カタチのあるものに/積極的な看取り〜「死」を隠さない/身体拘束なんかどうでもいい/大腿骨頸部骨折で寝たきりにならない/歩いていて転んで骨折したら「事故」か/拘束するリスクと生活するリスク
第4章 写真で見る清水坂あじさい荘の実際
Nさんと床ずれ/床ずれが治り始める〜自分で食べ始める/リハビリの基本〜心が動けば身体は動く/あじさい荘の看取り〜マグロと甘エビでよみがえる/本当につらかったDさんのケース/「食べる」ために口の中を整える/「よみがえらせることができるんだ」とDさんに教わる
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